今日の委員会で、母子生活支援施設廃止条例が出されたので、これまで関わってきた中での全ての思いを詰め込んだ討論を最後にしました。
議場でのガチガチの討論よりは、議員としての思いが込めやすかったです。
ほぼ全文掲載します。
今後本会議で委員会審査通り議決されると、足利市の母子生活支援施設は、3月末を持って廃止となります。
私は今年3月に、前市長のもとで最初のさわらごハイム廃止計画案が出された時にとんでもないと思って反対をしましたし、それ以来しつこい程この件には関わらせていただいてきましたので、あえてここで賛成の立場からの討論を申し上げます。
さわらごハイムの建物に関しては、老朽化していてお風呂も共同で、多数の世帯が入居する施設としては非常に使いにくく、それにより入居に結びつかない事もあり、この先もこのまま継続して使えるというものではなく、公共施設再編計画にある通り現施設は短期で廃止なのは仕方ないと思っています。
しかしながら、母子生活支援施設というものは、栃木県に3か所しかない重要な社会資源であるため、建物をなくしても、なんとかその中身である機能部分を残せないかと私なりに模索してきました。
例えば、新しく建物を建てなくても、市営住宅を貸し切って施設にできないかとか、民間施設を利用してできないかと考えましたが、
その場合、法的に満たさなければいけない設置基準である、集会室などの大部屋や、学習室・静養室・相談室など、居室ではない部屋の確保が必要だったり、
必ず事務所を通って居室に入らなければいけない動線がスペース不足で確保できないなどの問題があり、それらを満たすには新しい建物を建てることで対応せざるを得ないと感じました。
民間施設であれば、民間団体の行う助成金が100%出る場合などがありましたが、残念ながら自治体が所有する施設は対象外でした。
そして新設を考えたときに、私も、にわかには納得できませんでしたが、必ずしも母子生活支援施設が選ばれるわけではないという事実がありました。
DV被害者の基本的な支援の流れは、まずシェルター機能のある一時保護所に入ってから、本人の希望によりその後の避難先を決定しますが、母子生活支援施設は、婦人保護所、市営住宅、民間のシェルターやアパート等複数ある選択肢の中の1つとなります。
栃木県を含めたこの辺り4県では、母子生活支援施設が12施設あり、入所率が約6割です。4割以上が空いている状態で、新しい建物であっても空きの多い施設もあります。近年は、母子生活支援施設のように職員の目が常にある場所ではなく、市営住宅などのように独立して住める住居が選ばれることも多いという現実がありました。
もちろん、シェルターからどこに移動しても、措置費や生活保護や手当は受けられるので生活費は確保できます。
足利市の以前の廃止計画では、施設を廃止するだけで何のフォローもしない状態でしたが、
10月に示された新しい計画では、市営住宅を目的外使用として常に確保しておき、家財道具一式を完備して、身一つですぐ居住開始できるという状態にしておくことや、
子ども総合支援拠点の職員が訪問を含めて支援していくという内容となっています。
市営住宅の目的外使用を認めている市はあっても、家財道具一式を完備した居室を確保している自治体は近隣ではないため、これはDV被害者がシェルターから出る時の選択肢を充実させることに繋がるのではないでしょうか。
ただ、欠かせないことは、相談援助の体制をしっかりと確保し今以上に充実させていくことです。子ども家庭総合支援拠点の中に、母子生活支援施設が持っていた相談援助機能が加わるわけですから、その分の人員確保を含めた支援体制の強化を徹底していただくとした上で、新しい形でDV被害者を含めた母子支援を実現させて行って欲しいと思いますし、議会としても今後もしっかりと関わり続けていきます。
その上で、母子生活支援施設の建物の廃止は賛成いたします。
以上が、私が賛成する理由です。皆様にも、ご賛同いただけるようお願いして、私の賛成討論といたします。